グウェンがコンラッドの帰還を告げて数日。
俺は、何度も何度も執務室から見える空を見ていた。
あいつの帰還の知らせを今か今かと待ち続けた。
あの日から、こっちでは2年近くたった。地球でも数ヶ月・・・。
俺は、あの頃から成長したのかな・・・。
俺は、王として少しは成長したのかな・・・?
いつもそばにいるグウェンたちより、コンラッドあなたに見てほしい。
だけど、16歳の俺を見てほしいんだ。ほんとは・・・。王としてではなく、ユーリ個人として・・・。
それはわがままかな?
俺は、不安なんだよ。
早く、コンラッドの声を聴きたい。
俺の精一杯の虚勢が崩れる前に、コンラッド早く、戻ってきて・・・。
帰還(2)
コンラートは久々に血盟城に足を踏み入れた。
深夜だったので、あまり誰も気づかない。それもそのはず、グウェンダル直轄のスパイたちの通路からだった。ヨザックに案内されて兄の部屋に向かった。とりあえず帰還の報告だ。
この部屋で、今回の作戦を兄と練ってから2年・・・。
今日、帰還すると兄にはヨザックから報告が行っている。
そう、感慨にふけっていると、ヨザックがグウェンダルの部屋をノックした。コンコン。ヨザックが名乗らないうちに、「入れ」という声がした。
そして、すぐ部屋に入った。2年ぶりの兄の部屋は、あみぐるみが格段に増えていた。やはり、今回の作戦のせいで相当なストレスがたまってしまっていたらしい。
「お帰り、コンラート。作戦完了、ご苦労」
以前より性格が少し丸くなったのか、率直に労う兄を見てコンラッドも2年の月日の長さを思った。
今回の作戦が失敗した場合、咎は、作戦を立案し、実行したコンラートだけじゃない。この作戦に初期の段階から協力し、摂政として内政を司るグウェンダルにも確実に行っていたから。とりあえず、成功してよかったとコンラートは思う。
「疲れを癒せ」と砂糖たっぷりのストレートの紅茶を渡されたコンラートは、断りを入れずにグウェンダルのソファーに座った。
そのまま、グウェンダルの仕事にひと段落着くのを待つ。
「で、陛下は、俺が帰還すると知ってどんなだった??」
グウェンダルの机の書類が終わるとコンラートは口を開いた。
「小僧はどうやら気付いていたみたいだ。16歳という年齢からもっと取り乱すかと思ったが、思っていた以上に落ち着いていた。
だが、それ故に、私が報告するまで、陛下は何も言わなかった。感知していたことをずっと隠していたのだと思う。そうすることで余計な波風を立たせないように・・・。」
眉間にしわを寄せつつグウェンダルは言った。
思い出すのは数日前、ユーリに報告した時の彼の表情・・・。
全てを知って受け入れていたという表情だった。
見た目は80歳位だとは言え、生まれ出でてまだ、16年。しかも、彼の場合帝王教育は全くされていないし、すぐ、地球というあちらの世界に帰ってしまう。
だが、今回の件で彼は、いつのまにか王としての自覚を持つようになっていた。この短期間での急成長を喜ぶべきなのは分かっている。だが・・・本当にこれでよかったのかとふと疑問になる。
魔族の16年はまだ、幼児だ。コンラートみたいに混血ならまだしも、ごく普通の魔族は16歳という年齢はまだまだお子様体型だ。
それに国のことを考えるにしても、ここまで、あまり長期間国にいないのに、彼の過ごしたあちらの短い人生が源だ。そう思うとユーリが不憫に思えてくる。
「そうか・・・。さすがに陛下は気付いておられたか・・・。猊下が居られるし・・・。成長なさってるんだな。」
そう、感慨にふけるコンラートに、グウェンダルは告げる。
「そうじゃない、成長させられたんだ。例えて言うなら、つめこみ教育だ。陛下が就任なさってからこちらの時ではもう3年近く経過している。
だが、あちらの時ではまだ、1年も経過していないらしい。
これでは陛下は、王としての自覚を強制的に持たされる羽目になったのではないか。そう思えてならない。」
グウェンダルがここ数日思ったことだ。
地球にいる間も猊下に特訓させられているのか、少しずつ眞魔国語の読み書きを覚えてきているユーリ。彼にとって、この世界の言葉は、話すことは出来て、指でたどって読むことは出来ても、目で読むことは未だに難しいことが多い。
だが、少しずつ自分が疑問に思った書類は質問を投げかけてくるし、ちょっとずつ意見も出すようになってきた。
事実、ユーリは自分の育った世界と比べて、血盟城遊びに来ると猊下とさまざまな政策案を出してきている。ギュンターやヴォルフォラムは単純に喜んでいるが・・・。
本人曰く、「この国に無いけど俺には身近なものをただ単に遊びながら出していただけど。」
そういったときのユーリははにかんでいた。
そして、あちらの世界の技術の発展に驚いた。「こういうのカルチャーショックっていうんだよ」そう言いながら、グウェンダルが彼の書き散らしたメモを見たときにユーリは言った。
「俺が育った世界にはそういう技術があって、こっちの魔術や法術の代わりをしている。
だから、俺はこの世界に来たときすごく驚いた。ここにはそういうのが無いってことに・・・。
たぶんこれはコンラッドも感じたことだと思うんだ。
でも、違う世界から来たから、おれはその世界を参考に、この世界にあうものをって思うんだ。
いつまでここにいるのかは分かんないけど・・・」
そのことをコンラートに言うと、
「そう、彼の過ごしている世界は俺等の世界よりも技術面で進んでる面や、政策面でも俺が驚くようなことをやっている場合が多い。それを知ったときは俺も驚愕したよ。
だけどいろんな経験をして大人になっていくのはどこの世界でも一緒なのに・・・。陛下は何故、そんなに駆け足なんだ・・・。」
とコンラートは呟いてため息をついた。そのまま沈黙に部屋が陥る。
部屋に響くのは、掛け時計のカチコチカチコチという音だけ・・・。
いつの間にか、時計の針は2時を指していた。
それに気付いたのはコンラート。
「グウェン、明日は早いんだろ?俺は部屋に戻るよ。ただ、陛下の護衛の復帰は、陛下の許可を戴いてからのほうがいいだろね。あの伯父上がいちゃもんつけてくる前に・・・。」
ようやっと、声を発した、コンラートはさまざまな思いに蓋をするように、言いつつ腰を上げた。コンラートにそう言われて、グウェンダルは時計の針が2時を過ぎていることに気付く。
「あぁ。陛下には報告をしておく。遅くても、昼の謁見時間には、陛下に報告できるよう手筈を整えるようにギュンターにも言っておこう」
脳内に明日のユーリの予定を思い出しながら、グウェンダルは答えた。
コンラートが扉に手をかけて「おやすみ」と言ったとき、ようやっと安堵感を覚えるグウェンダルだった。
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コンラート帰還話2。 だけど、帰還報告前夜。ユーリの急な成長かの地の技術に驚くグウェンダルみたいな・・・。でも会話ばっかり・・・。やはり情景は苦手です・・・。 ちなみに砂糖たっぷりの甘めのストレートは朝葉がつかれてるときはよく飲みます・・・。特に某シリーズの季節限定ストレートは1日に500×2パック飲むことも・・・ by朝葉
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